LGBTQで法的な結婚ができない方、パートナーはいるけれど結婚ができない方、以前は結婚していたけれど離婚した方、ずっとパートナーがいない方…
今現在結婚をされていない方が、将来に向けて何に備えたらいいのかを一緒に考えていきたいと思います。
1.LGBTQ(性的少数者)の方
性的マイノリティの方が生活しやすい社会へと少しずつ変化していますが、例えば福岡のようにパートナーシップ宣言制度を導入している都市に住んでいても、法的に備えた方がいいことがあります。
パートナーシップ宣言でできること
パートナーシップ宣言制度を導入している都市であれば、手続きをすることで、一定の行政サービスを婚姻関係のある夫婦と同じように受けることができます。
市営住宅の申し込みや生活保護、一部病院や不動産会社では、結婚に準じたパートナーの扱いを受けることができます。
パートナーシップ宣言でできないこと
一方で、相続や死後事務に関することは民法の規定通りに処理されてしまうので、遺言と生前・死後事務委任契約でパートナーとの生活の万が一に備えることをお勧めします。
パートナー同士が仕事をリタイアする頃には、後見や遺言の内容を再度検討する必要があると思います。
2.パートナーがいて結婚ができない方
経済的な理由、精神的な理由、環境的な理由でパートナーと婚姻関係を結べない方はたくさんいらっしゃると思います。
お子さんがいる場合
パートナーとの間にお子さんがいる場合、相続手続きのことを考えると、できるだけ認知されることをお勧めします。
また、パートナーやお子さんに財産を残すためには、遺言書が必要となります。遺言書で認知をすることも可能です。
お子さんがいない場合
お子さんがいない方は、よく話し合ってお互いに必要なことに備えましょう。パートナーに頼れる兄弟姉妹がいる場合は、事務委任の契約は必要ないかもしれません。お互いの財産を受け取る予定がなければ遺言書も不要です。
逆に、頼れる兄弟姉妹がいない場合は生前事務委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約などが必要でしょうし、財産を渡したい場合は、遺言が必要になってくると思います。
3.離婚した方
過去に結婚されていた方は、お子さんがいるかどうかで備えるべきことが変わってきます。
お子さんがいる場合
お子さんがいる方は、まずはお子さんとの親子関係を継続することが大切です。離婚したパートナーがお子さんを引き取った場合、その後の親子関係が断絶する方が多くいらっしゃいますが、離婚して配偶者との関係はなくなっても法的な親子関係はなくなりません。
ご自身の老後のことや相続手続きでお子さんに迷惑がかからないよう、疎遠であっても連絡先や生活状況(仕事や同居の親族の有無)を把握するなどに努めていただけたらと思います。戸籍上の親子であれば、通常はお互いに住所を調べることはできます。
お子さんがいない場合
お子さんがいない方は、兄弟姉妹や友人、専門家にお願いすることを想定して備えていただきたいと思います。
兄弟姉妹に亡くなった後のことまでお願いできるという方は遺言書の準備を、頼れる人がいない方は、生前事務委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、遺言が必要になってくると思います。
4.ずっとパートナーがいない方
ずっとパートナーがいない方は、お子さんもいないと思いますので、兄弟姉妹や甥姪など、頼れる親族がいるかどうかで備えるべきことが変わってきます。