成年後見人として、ご本人さんの居所を変更する時に必要だった手続きについてのまとめです。ご本人の生活状況によって必要となる手続きは変わりますので、全ての方に必要な手続きではありません。また、全ての手続きを網羅しているわけてはありません。
To Do List
1 生活保護ケースワーカーさんとの打合せ
ご本人が生活保護を受給している場合は、保護費で入居できる施設でないと転居できないため、受け入れてくれる施設を探した後は、施設の利用料(家賃)などが保護費の範囲内かどうかを確認する必要があります。ケースワーカーさんから施設管理者へ家賃証明書を送ってもらい、それに記入して返送するという形式で敷金や家賃などの確認を行います。
引っ越しによって保護費が途切れないように、他の市区町村へ引っ越す場合は、担当のケースワーカーさんと引っ越し先のケースワーカーさんとで移管の手続きを行ってもらいます。
2 居住用不動産処分の許可の申立て
民法第859条の3
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
ご本人の引っ越しが「居住用不動産の処分」に当たる場合には、家庭裁判所の許可が必要です。自宅を売却して施設に入るという場合は民法859条の3に当たるというイメージがしやすいですが、現在、施設に入っていて別の施設に居所を移動する場合にも居住用不動産の処分に当たり家庭裁判所の許可が必要な場合があります。
具体的な例でいうと、老健施設や病院へ入院する場合は不要ですが、有料老人ホームから別な有料老人ホームへ転居する場合は、賃貸借の解除に準じて考えられるため、居住用不動産の許可の申し立てが必要でした。
居住用不動産処分の許可の申立てに関する家庭裁判所のHPはこちら★
3 引越し業者、介護タクシー等の手配
荷物を運んでくれる業者さんを探すのはもちろんのこと、ご本人の状態によっては介護タクシーを利用しての移動となるので、事前予約等が必要です。
また、現在入居中の施設と転居先の施設のどちらで昼食を食べるのか、引っ越しの荷物は誰が片付けるのかなども事前に決めておく必要があります。介護ベッド等の福祉用具を利用する場合は、入居時に利用できるよう手配が必要です。
4 転出届、転入届、転居届け
同一市区町村での引越しは転出届を出す必要がないため、引っ越し後に転居届を出します。他の市区町村へ引っ越しをする場合は、現住所の役所で転出届を出し、引っ越し先の役所で転入手続きを行います。マイナポータルを使えば訪庁不要で転出届を出すことができ、転入届の手続きの予定申請ができます。
5 施設入居等の契約
入居する施設との入居契約やケアプランセンターとの契約、福祉用具屋さん、訪問医、訪問歯科、訪問調剤薬局との契約など、ご本人が引っ越し前に受けていた支援を引越し後も利用するために必要な各種契約を結びます。新たにサービスを利用するときは、介護保険内で利用できるサービスかの確認をケアマネさんに行います。
6 国保や後期高齢者医療保険への加入、住所変更
国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入している場合は、役所での手続きが必要です。家族の扶養に入っているなどの理由で健保組合の保険に加入している場合は、加入している健保組合での手続きとなります。
7 マイナンバーカードの住所変更
マイナンバーカードの住所の書き換え、暗証番号の設定などが必要です。書き換えたマイナンバーカードの受け取りには1時間程度(混雑時は数時間)かかるので、時間に余裕を持っていく必要があります。(後日の受け取りも可能。)
8 郵便物の転送手続き
郵便物の転送手続きは、郵便局にある転居届に記載して郵送するのが一般的ですが、インターネットで申し込むこともできます。本人確認のためにマイナンバーカードが必要だったので、マイナンバーカードの住所を書き換えておく必要があります。郵便局の転居転送サービスはこちら★
9 年金の住所変更手続き
国民年金や厚生年金は住基ネットと紐づいているため、原則、住所変更の届出は不要のようです。ただし、国民年金や厚生年金以外の年金(企業年金など)を受け取っている場合は、加入している団体に住所の変更を届け出なければいけません。年に一度、加入元から送られてくる現況届に記載して提出しなければ、年金の支給が止まってしまうこともあるようです。
10 成年後見登記の変更登記
法定後見でも任意後見でも、成年後見登記の内容に変更が生じた場合は、東京法務局に住所変更の登記を申請しなければいけません。住所の変更の場合は、住基ネットによって法務局が住所を確認できるため、原則、住民票の提出は不要のようです。成年後見登記については東京法務局のHPへ★